大阪高等裁判所 平成12年(行コ)12号 判決 2000年5月26日
控訴人
株式会社 リバーストン
右代表者代表取締役
吉田源三
右訴訟代理人弁護士
谷戸直久
被控訴人
豊能税務署長 出島信彦
右指定代理人
黒田純江
山本弘
松田稔
石田嘉男
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が平成一〇年六月二九日付けでした控訴人の平成六年五月一日から平成七年四月三〇日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、納付すべき税額五九五万四八〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。
3 被控訴人が平成一〇年六月二九日付けでした控訴人の平成七年五月一日から平成八年四月三〇日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、納付すべき税額五七二万〇二〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。
4 被控訴人が平成一〇年六月二九日付けでした控訴人の平成八年五月一日から平成九年四月三〇日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、納付すべき税額五三五万一八〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。
5 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文と同旨。
第二当事者の主張
次のとおり訂正するほかは、原判決の事実摘示中の「第二当事者の主張」に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決七頁三行目から四行目にかけての「原告が異議決定書の謄本の送達を受けた日」を「異議決定書の謄本が控訴人の事務所に配達された日が平成一〇年一一月二八日であること」と改める。
2 同九行目から一〇行目にかけての「原告に送達された」を「控訴人の事務所に配達された」と改める。
理由
当裁判所も、控訴人の本件訴えは不適法であると判断する。その理由は、次のとおりである。
一 本件異議決定に係る異議決定書の謄本が平成一〇年一一月二八日に控訴人の事務所に配達されたこと、控訴人が本件異議決定を不服として同年一二月三〇日に審査請求をしたこと及び国税不服審判所長が平成一一年四月一二日に右審査請求を不適法として却下する旨の裁決(本件裁決)をしたことは、当事者間に争いがない。
二 国税通則法七七条二項は、「第七五条第三項の規定による審査請求は、第八四条第三項(異議決定の手続)の規定による異議決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して一月以内にしなければならない。」と規定している。
乙第一号証及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人は、本件異議決定に係る異議決定書の謄本を郵便によって送達すべく、控訴人の事務所宛に発送したこと、右謄本は、平成一〇年一一月二八日控訴人の事務所に配達され、控訴人の従業員が郵便の業務に従事する者からこれを受領したこと、その日が土曜日であり、控訴人の休業日であったため、控訴人の代表者が右謄本の内容を現実に了知したのは、翌月曜日である同月三〇日であったことが認められる。
右事実によれば、控訴人に対して右謄本の送達がなされた日は、控訴人の事務所において、控訴人の従業員が郵便の業務に従事する者から右謄本の交付を受けた平成一〇年一一月二八日であると認めることができる。
これに対し、控訴人は、右謄本の送達があった日は、控訴人の代表者が異議決定の存在を現実に知った日である同月三〇日と解すべきである旨主張するが、国税通則法一〇条の規定に照らし、右主張は到底採用することができない。
三 そうすると、本件処分についての審査請求は、法定の不服申立期間を徒過してされた不適法なものであり、これを却下した本件裁決は正当であるから、本件訴えは、適法な審査請求についての裁決を経ていないことが明らかであって、行訴法八条一項ただし書及び国税通則法一一五条一項により不適法なものといわざるを得ない。
四 以上の次第で、控訴人の本件訴えは不適法であり、これを却下した原判決は相当であるから、当裁判所は、平成一二年四月二一日終結した口頭弁論に基づき、本件控訴を棄却し、控訴費用は控訴人の負担とすることとして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 竹原俊一 裁判官 大出晃之 裁判官 東畑良雄)